シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
1.偶然なのか運命なのか
とにかく、鳴海 仁くんとはたびたび顔を合わせる事があった。
特別顔見知りでも無い男の子に、一週間の内にこう何度も出くわすものだろうか。
始まりは火曜日。最寄り駅付近の小児科帰りの事だった。
*
息子の手を引き、私は無人のエレベーターの中へ乗り込んだ。
「わ〜〜っ、待って待って、乗りまーす」
扉が閉まりかけ、慌てて“開”ボタンを押す。
一瞬、外国人が乗り込んで来たのかと思いギョッとなった。私の右手を握る息子の手にも、ギュッと力が入った。
彼は白っぽく明るい金髪に染めた髪をしていて、瞳にはグレーのカラーコンタクトを入れていた。カーキ色のトレンチコートを着た肩に黒い大きな鞄を提げ、足元は秋らしいブーツを履いている。
ひと目見て学生さんだと分かった。奇抜なファッションをした学生さんだ。
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