シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ーー今日は比較的暖かいし。長居しなければ風邪をひかせる事も無いかな?

「うん。そうだねっ、じゃあお砂場セット持って行こうか?」

「うんっ!」

 颯太との二人の時間が持てるのは、正直な所ありがたい。実家暮らしで、母と家事を分担出来るから取れる貴重な時間だ。

 きっとアパートを借りて二人暮らしをしていたら、家の事も全てしなければいけない分、心のゆとりも生まれないだろう。

 母親四歳の私だけど、まだまだ親に気苦労と心配を掛けているなぁ。

 そんな事をぼんやり考えながら、身支度を簡単に済ませて家を出る。

「ほらっ、颯ちゃん。自転車乗るからジャンバー着ないと」

 駐車場から自転車を出し、颯太に上着を見せた時。

「……あっ!」

 颯太がどこかを指差して、大きな声を上げた。

 ーーえ、……あッ!!

 颯太が向いている方向に目をやると、鳴海くんがアパートの下で煙草を咥えながら電話で話をしていた。

「ママ、あれ。たまてばこのおにーちゃんだよね?」

「え? あ、そうだねっ! て言うか颯ちゃん、あのお兄ちゃんの事まだ覚えてたんだ? エレベーターで会ったの、大分前だよ?」

「うん。だってお爺ちゃんじゃないのに頭白いもん。目もぼくと違うし」

「あー……うん。そうだね」

 私はぎこちない笑みを浮かべた。

 ーーどうしよう、言うなら今…かな?
< 102 / 430 >

この作品をシェア

pagetop