シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「愛梨ちゃん、ちょっと来て?」

 お店のスペースから出て、私は休憩室の前に愛梨ちゃんを呼んだ。エプロンのポケットからスマートフォンを取り出す。

「この子、私の息子で颯太っていうの」

 待ち受けにした写真を見て、愛梨ちゃんはふにゃっと頬を緩ませた。

「わわっ、可愛いぃ〜っ。沙耶っちにどことなく似てるね〜っ? え、何歳??」

「四つだよ」

「そっかぁ〜」

 愛梨ちゃんから携帯を受け取り、またポケットにしまった。

「私、未婚の母なんだ。颯太の父親に、妊娠の事言ったら逃げられちゃって」

「そう、だったんだ?」

「うん。それでも、堕ろしたくなかったから……颯太を生んだの」

 その時、愛梨ちゃんの背後からひょこっと澤野くんが現れた。

「え、なになに。誰? 颯太って」

「さ、澤野くん?」

「あ、澤野っちー」

「沙耶ちゃん、仁から付き合ってる事聞いたよー? まさか早々に浮気なんかしてないよねー?」

「あー……」

 ーーどうしよう、この流れは多分言わないと収まらない。

 しまったな、と思う。

 まさか澤野くんにまで話さなければいけないとは思わなかった。我ながら迂闊だったな。

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