シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

「バカっ、澤野っち！　そんなわけ無いでしょー？　口を慎みなさい」

「えーっ！　愛梨、なんか厳しくない？」

　愛梨ちゃんがビシッとチョップを決め、澤野くんが頭を押さえている。そんなやり取りですら、仲良しカップルを思わせる。二人の仲は良好みたいだ。

「あ、いいよ、いいよ。愛梨ちゃん」

　私は二人にやんわりと笑いかけ、ポケットに手を入れた。携帯の待ち受けを見た澤野くんは、これでもかと言うほど目を見開き、「マジで？」と呟いた。

「あのね。私に子供がいる事は、できれば内緒にして欲しいの。色々と想像して詮索されるのも嫌だから」

「あ、うん。分かった」

「愛梨も絶対言わないよ？」

「ありがとう」

　再度携帯をしまうと、どこか神妙な顔付きで澤野くんが呟いた。

「沙耶ちゃんってさ」

「うん？」

「もしかして。俺らより年上だったりする？」

　ーーんん？　何をいまさら。

「するよ？　一応、五つ上だから」

　愛梨ちゃんは、へぇ、といった反応だったが、澤野くんは大袈裟に驚いていた。

「マジで？！　俺てっきり、タメかと思ってた！」

　ーー何でそうなるかな。私、特別童顔とかでもないのに。