シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 視界にプラチナブロンドの髪が映り、ドキッと心臓が跳ねた。

「沙耶さん、お疲れ〜」

 シャペスパン60のミシン糸を取り、鳴海くんがレジに並んだ。

 ーーえ? ちょっ……。

 その顔を見てサッと動き、私は鳴海くんの手を引いた。

「え、ちょっと……沙耶さん??」

 愛梨ちゃん同様、休憩室の前まで引っ張って行く。鳴海くんはカラーコンタクトの瞳を瞬いていた。

「鳴海くん、ほっぺにご飯粒ついてるよ?」

「……ッ、え!」

 ギョッとする彼の頬からそっとそれを取り除く。

「ふふっ、おにぎりでも食べてたの? 気をつけないとね?」

 赤面する彼を見て、ペロリと指先に付いたそれを食べると、鳴海くんの顔は耳まで赤くなった。

「あっ。あー……うん。型紙とってたら、その。時間経ってて、慌ててご飯食べたから。糸買うのも…忘れてたし」

「そっか。……ねぇ、鳴海くん」

「な、なに?」

「ご飯って、コンビニのおにぎりとか?」

「あ、うん。大体いつもおにぎり一個とお茶買ってる」

「えっ? それだけで足りる? それに全然栄養取れてないじゃん」

「あっ、いや。大丈夫! 俺すごく元気だし」

 それは若いからでしょう、と思わず言いそうになる。

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