シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 学校から歩いて十分程度の場所に、この購買部の拠点である本店、村田服飾店がある。私はそこの従業員で、学校のある日は購買部出勤、夏休みなどの長期休みの時は本店出勤という内容で雇って貰った。

 ちなみに春休み期間は“西店”と呼ばれる村田服飾店で働く事になっている。つまり、社長は本店、購買、西店の三店舗を経営しているのだ。

 就業時間は朝九時から夕方の六時半までだ。

「あの、水嶋 沙耶です。今日からよろしくお願いします」

 購買部は二人体制で店を開けている。私は早速とばかりに、出勤した先輩に挨拶をした。

「あなたが水嶋さんかぁ。よろしく〜。屋島(やしま) 祥子(しょうこ)です。苗字呼びだと固いし、沙耶ちゃんって呼んでもいいかな? 私の事も祥子で良いし」

「あ、はい。じゃあ、祥子さんで…」

 およそ三畳の休憩場所に入り、「このロッカー使ってね?」と鍵を渡される。

「沙耶ちゃん、若いよね? まだ二十歳(はたち)ぐらい?」

「あ、いえ。二十五です」

「そうなんだ? いい意味で見えないね〜? 羨ましい」

 愛想のいい先輩に、私はホッと胸を撫で下ろした。ちなみに先輩は二十八歳で結婚もしているらしい。
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