シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 スマートフォンを充電器にさし、部屋を出た。

 二階から居間に降りると、幾らか騒がしく、颯太がテンションを上げて父と母に話をしていた。

「……でねっ、そのおにーちゃん、ジンくんって言うんだけど。おもしろいんだよ?」

 ーーえっ。

「あら、どんな風に?」

 “ジンくん”の名前を聞き、ヒヤッとした。両親には彼氏が出来たなんて話は全くしていなかった。

「えっとね。すごいドジなんだよ。なんにもないところで転ぶの」

 そうなの、と母が相槌を打った時。「颯ちゃん!」と少し大きめの声で話し掛けた。

「お風呂っ、入るよ?」

「あっ。ママきたっ、はぁーい!」

 颯太がパッとソファーから離れると、両親はそれまで観ていたテレビに目を向けた。

 ーーどうしよう。お母さんだけにでも……言っておいた方が良いかな?

 でも、きっと色々言われる…よね。颯太がいながら、彼氏作るなんてって。責められたらどうしよう?

 勿論、そんな母じゃない事は分かっているけれど、親に話すとなったら最早マイナスな想像しか出てこない。

 湯船に浸かりながら悶々と考え込んでいると、颯太が不思議そうな顔で首を傾げた。

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