シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「ありがとう」

「どういたしまして」

 隣りに母が座り、私もグラスに口を付けた。

 ーー言うならきっと、今しかない。

「……あのねっ」

「うん?」

「お母さんに……。その、相談したい事が有って…」

 意を決して母を見ると、彼女は口元を緩め、穏やかに笑っていた。

「……沙耶。好きな人がいるんでしょう?」

「……えッ!」

 不意に図星を突かれ、カッと頬から耳まで熱くなる。

「なんで、分かるの?」

「ふふっ、分かるわよー、親だもの」

 ーーそういうものなんだ……。

「……うん。そう、なの。その事で最近色々と考えてて。お母さんには言っておいた方が良いかなって思って…」

 母はへぇ〜と息をつき、梅酒を飲んだ。

「その人ってどんな人なの? 年上? 年下?」

「年下、だよ。それも、五つ下」

「え、そんなに?」

「うん。私の好きな人……って言うか。もう想いが通じ合ってて、彼氏、なんだけどね。実は、学生さん…なんだ」

「あら、まぁ……そう」

 パチクリと目を見開いた母を見て、浅く顎を引いた。

「今、仕事に行ってる専門学校の生徒さんで。偶然にも近所に住んでて」

「うんうん」
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