シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 母は隣りでカランとグラスを鳴らした。時々みせる真面目な横顔をみていると、わけもなく不安になる。

 そもそもまだ社会にも出ていない学生さんに、いきなり父親をやらせるというのは重荷じゃないかーーーいつその言葉が飛び出すだろうと思い、ヒヤヒヤした。

「その鳴海くんって男の子には、沙耶の事情をある程度は話しているのよね?」

「え、事情って…?」

「颯太を産む事になったいきさつとか。颯太の父親の存在とか」

「……あ、うん。前の恋愛って言い方でチラッとは言ってあるよ」

「颯太が父親って存在を知らない事は、ちゃんと伝わってるのかしら?」

 ーーあ。

「いや、分かんない。特別言葉にして言ってないから……。でも、颯太の前では色々と気をつかってくれてるよ? 私に対しても敬語だし、本当にただ仲のいい友達って形で接してくれてるから。
 男の子なのに、色々と人の気持ちに敏感な人で……」

「……そう。感受性の強い彼なのね?」

 ーー感受性が強い……?

 何となくハテナを感じて首を傾げると、母がふふっと口角を上げた。
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