シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「感情移入しやすくて、人の気持ちを汲み取るのが得意な人の事よ?
 父親を知らない颯太にとっては、ちょうど良い彼なのかもしれないわね?」

「……あ。うん」

 頷きながら、両手で包んだグラスに目を落とした。

 ーー確かにそうかもしれない。

 鳴海くんと初めて会った時から、不思議と癒されたり、居心地の良さを感じていた。

 その理由がどこにあるのか分からなかったけど、きっと鳴海くんの性格にあるんだ。

 無意識に他人の心に寄り添える事。人の感情に敏感で、優しい言葉をかけられる事。

 前にネットか何かの文章で、人の心に共感できるのは女性特有の脳の働きだと読んだ事がある。鳴海くんは男の子だから、共感とはまた違った形でそれが出来ちゃうんだ。

「また機会があったらお母さんにもその彼、紹介してもらえる?」

「うん、もちろん。紹介するよ。
あ、でも。見た目は凄く奇抜って言うか、目立つ人だから…多分びっくりしちゃうかも?」

 そう言って笑みを浮かべると、母もつられて微笑んでいた。

 グラス一杯の梅酒を飲み干し、眠るために二階へ上がった。
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