シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
12.鳴海くんとイベント会場へ




「入場券をお持ちでない方はこちらの列にお並び下さい」

 係員の方に促され、窓口で三人分のチケットを買った。

 会場へと続くフロアを歩いていると、途中で迷子用ワッペンを書くスペースが用意されていて、住んでいる地域や名前、年齢などを書いて颯太の胸元に貼り付ける。

 するとどこか特別感を感じたのか、颯太のテンションが上がる。

 受付まで歩いてチケットを渡すと、おまけのミニカーと交換になり、私はパトカーを、颯太は観光バスを貰った。必然的に私の分は颯太の物に。

「やったぁ! パトカーとバスだぁーっ」

 目を輝かせた颯太を見て、鳴海くんが穏やかに微笑む。

「颯太くん、お兄ちゃんのコレ、消防車もあげる」

「え! いいの?? ジンくん、ありがとうっ」

「どういたしまして」

 いきなりミニカーを三つゲットした颯太の機嫌は上々だ。

 ここまで鳴海くんに持って貰っていた荷物を、受付前のコインロッカーに預ける。

「沙耶さん。朝見た時から思ってたけど、荷物多いよね? 颯太くんの着替えとか?」

 荷物を受け取りながら、私は口角を上げた。

「うん、それもあるけど。お弁当と水筒、持って来たから」

「え」
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