シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「お昼、混雑すると思うし。どこかで座って食べよう? こんなに広いんだし、空きスペースぐらい確保できると思うから」

「あ、うん。て言うか、普通に感動した。沙耶さんのお弁当、マジで美味(うま)いから」

「ふふっ。今日早起きして頑張ったからね。期待してて?」

「うん」

 鳴海くんが白い八重歯を覗かせてニコッと笑う。その側で颯太がぷくっと頬を膨らませた。

「マーマーっ、早く行こうよぉー?」

「ハイハイ、ごめんね。颯ちゃん」

 颯太に手を引かれて通路を進むと、大きなガラスケースに収まったプラレールのジオラマが姿を現した。

「うわぁ〜っ! 電車だぁ〜っ!」

 パッと右手を離し、嬉々として走り出す颯太を見て、ついクスリと笑みがこぼれる。

「子供って良いね?」

 ーーって、あれ?

隣りの彼に話しかけたつもりが、そこに彼の姿は無く、気付くと颯太の隣りに腰を下ろして同じくジオラマを眺めていた。

「いいなぁ、こういうの。一度作ってみたいなぁ」

「ぼくもぼくも。ねぇ、ママー! これ買ってぇー?」

「なに言ってるの」

 二人して夢中に新幹線を眺めている姿がおかしくて、ほっこりと胸が温まる。
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