シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「颯太くん。こういうのはさ、ちょっとずつ集めて大きくしていくんだよ?」

 そう言って鳴海くんがチョイチョイと手招きし、颯太に耳打ちする。

「お誕生日に買って貰ったら? それだったらママも許してくれるだろうし」

 ーーそこ。聞こえてますよ。

「そうする〜っ」

 颯太が嬉しそうにふにゃっと笑う。

「レールセットが集まったら、お兄ちゃんと一緒に作ろう?」

「うん!」

 しばらくジオラマの前に佇んでいると、別の家族連れの人が来て、子供たちは同じように電車とレールに魅入られる。

「見て? あのお父さん、若くてお洒落〜…」

「え。お父さんじゃなくてお兄ちゃんじゃないの?」

「……あ。もしかして叔父さん、とか?」

 小声だったが、ふとそんな会話が漏れ聞こえて、鳴海くんを見やる。

 鳴海くんは颯太と電車の話をし、「次行こう?」と先を促していた。我先に走り出す颯太を彼が追いかけ、私もその後に続く。

 ーー若いパパ、っていうのは。やっぱりまだ難しい年齢だよね。

 何となくそんな事を思い、ため息がもれる。

 普通にどこにでもいる家族に見られるのが理想だけど、逐一他人の目を気にしていたらキリがない。
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