シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「待って待って」

「ママおそーい!」

 しっかり鳴海くんに確保された颯太が私を指差して笑う。

「ごめんごめん、えっと……。ここでプレイチケット買うのかな?」

「うん。大分並んでるみたいだけど〜……あ、最後尾あそこみたい」

 彼が指差す方向を確認して、また三人で並ぶ。

 広大なフロア一帯はトムカのアトラクションゾーンとなっていて、個々の場所で遊ぶのにチケットが必要になる。

 千円で十一枚綴りのチケットを貰うと、鳴海くんも同じものを買っていた。

「もしかして。鳴海くんも遊ぶの?」

「うーん……いや? 颯太くんがまだやりたいって言った時の、保険……?」

 言いながらそれをコートのポケットに仕舞い、ニパッと笑うのだが。

 どうだろう。きっと鳴海くんも参加したいんじゃないかな?

 さっきのジオラマでの様子を思い出すと、きっとそうだと思ってしまう。

 彼のあどけなさが微笑ましい。颯太に気に入られようと思って無理に取っている行動じゃない、そう思えるからこそ、好きだなぁとまた愛情を募らせる。

「ママーっ、ぼく、トムカ釣りやりたいっ!」

「うん、いいね。じゃあ並ぼうか?」

 ご所望のトムカ釣りは既に長蛇の列が出来ていた。

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