シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ゲームを取り仕切るお姉さんの合図で、制限時間内に小さな釣り竿を使ってミニカーを釣り上げるといった、至ってシンプルな内容だ。

 けれど、釣り上げたミニカーの中から自分好みの物を貰えるという特典付きなので、人気があるように思えた。

 颯太は取り分け、働く車が大好きだ。ダンプカーやショベルカーだったり、清掃車やミキサー車だったり、なにか特別感があるような物を欲しがる。だからこそこのトムカ釣りを楽しみにしていた。

「ついでに俺もやろっかなっ」

 私と颯太の後ろに鳴海くんも並んで、順々に列を進む。

 ーーそうか。鳴海くん、これが目的だったのかも?

 私はフッと口元を緩めた。

「ジンくん、なんの車とるの?」

「うーん。何が良いかな……特に決めてはいないけど、珍しいやつを狙おうかな? 颯太くんは?」

「えっとね、ショベルカーとかクレーン車が欲しいの」

「そっかぁ、じゃあ良い車をゲットできるように一緒に頑張ろっ?」

「うん!」

 ーーこういうのって良いな。

 乗り物が好きなのは男の子特有って感じがするし、颯太と鳴海くんに共通の趣味があるみたいで嬉しくなる。

 順調に歩みを進め、私たちの番になった。細長く大きなプラスチックケースの中に、種類さまざまなミニカーがこれでもかという程埋め尽くされていて、颯太は目を輝かせて釣り上げる獲物を物色する。

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