シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「オッケー、厚手二枚ね。俺の模造紙も頼むなー」

「おう、今日二枚でいいよな?」

「のハズ、えっと、トワール トワール」

 ーーあ、いけない。学生さんが来た。

 厚手トワールの棚の前を陣取っていた私は、急いでメモから顔を上げ、脇に避けた。

「えっ、あれ?」

 布を二枚手にした彼と不意に目が合ってしまう。

「沙耶さん? 何でここにいんの?」

 ーーえ!

 明るい金髪の彼を見て、思わず口を開ける。今朝も会った鳴海くんだった。

 ーー何故に名前呼び??

「……あ。今日から、ここで働く事になって」

「え、そうなんですか!」

 目を丸くした彼の瞳には、やはりグレーのカラーコンタクトが入っていた。

「あれ? 仁くん、沙耶ちゃんと知り合い?」

 一旦レジの引いた祥子さんが私たちを見て楽しそうに笑う。

「知り合い、と言うか。まぁ……」

「へぇぇ〜、新入りのおねーさん、沙耶ちゃんって言うんだ?」

 先ほど鳴海くんと一緒に現れた彼の友達が、二枚で丸めた模造紙を二本持って近付いて来た。
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