シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 苦笑いで困っていると、隣りで釣っていた鳴海くんがスッとカゴを差し出してくれた。

「颯太くん、お兄ちゃんいっぱい取れたから、この中から選んで良いよ?」

「えっ」

 差し出されたカゴには颯太が欲しがっていたショベルカーがちゃっかり入っていて、颯太は嬉々としてそれを掴んだ。

「ありがとうっ、ジンくん」

「とういたしまして。二台貰えるみたいだからもうひとつ取っていいよ?」

「うん!」

 二人のやり取りを見て、心底安堵する。

 ーー良かったぁ、鳴海くんがいてくれて。

「鳴海くん、ありがとう」

 小声でコソッとお礼を言うと、彼はううん、と眉を下げて笑う。

「颯ちゃん、ママのカゴからはどれ持って帰る?」

「えっとね、救急車とこの赤い車っ」

「分かった」

 欲しいミニカーを選び、次の人に順番が入れ替わる。

「鳴海くん、ああいうの得意なんだね?」

 次のアトラクションゾーンに並んだ時、何気なく聞いてみた。

「うん、そうなのかな? まぁ、苦手では無い、かな。普段から針使ってるから手先は器用な方だと思うし」

「あぁ、そっかぁ」

 ーー確かにそうだ。

 裁縫が苦手な私と違って、きっと器用に違いない。
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