シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「まぁ、どん臭いって言うか、ドジな面があるのは自覚してるけどねー」

 言いながら彼が照れ臭そうに苦笑する。

 ーー鳴海くんのこういう気取らない所も好きだなぁ……。

 つられて笑っていると、クイッと袖口を引かれた。

「ママー、順番まだー?」

 退屈そうに唇を突き出した颯太が、私を見上げてむくれる。

「あー、うん。まだもうちょっとかかりそうだね」

 次に並んだのはトムカのあみだゲームだ。

 四つあるコースから一つを選んでミニカーを走らせるのだが、どのコースに行き着くのかが分からない。行き着いた先で貰えるミニカーの種類が決まっていて、当たりとなるのはどうやら金色のミニカーらしい。

 まだ始まったばかりのイベントで、尚且つ日曜日のためそれぞれの家族連れで会場はごった返していた。

 程なくして順番が回り、颯太は黒の普通車を貰った。

「ジンくんはやらなかったのー?」

「あー、うん。お兄ちゃんくじ運無いからさぁー」

「ふぅん……。でも欲しかったなぁ、金色のミニカー」

 貰ったばかりの黒い車を見つめ、颯太が物足りなさそうに呟いた。

 ーー子供の欲求って結局のところ終わりが無いからなぁ……仕方ないかぁ。

「次、行こう? 颯ちゃん」

「うん…」

 それから絵合わせゲームやルーレット、組み立て工場を制覇する。

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