シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ーー好きな人に自分が作ったものを食べて貰えるっていいなぁ。

 お皿に乗った玉子焼きと唐揚げを食べながら、チラチラ鳴海くんを見てしまう。

「颯太くん、おにぎり食べないの? これなんか颯太くん専用のおにぎりだよ? ほら、サッカーボール」

「……うるさいなぁ、今はいらないのー」

 鳴海くんに差し出されたおにぎりからそっぽを向き、颯太は横を向いて玉子焼きを食べていた。

「ごめんね?」

「あ、いや」

 ーー颯ちゃん、なんだかご機嫌斜めだなぁ。疲れたのかな?

 欲しいミニカーをそこそこゲットしたのだから、もっと機嫌が良くてもいいはずなのに……。

「鳴海くん、おにぎりも色々有るから、遠慮なく食べてね?」

「あ〜、はい…」

 鳴海くんはどこかぎこちなく笑った。

 ーーどうしよう。颯太の機嫌が悪いの、気にしてるのかな。

 だとしたら申し訳ないな。

 チラッと颯太に目を向けると、無言でおかずだけを口にしていた。

「ママー、お茶ちょーだい?」

「はぁい、ちょっと待ってねー?」

 颯太のコップにお茶を注いで渡す。飲んでいる途中で手が滑ったのか、青いコップをひっくり返した。

< 145 / 430 >

この作品をシェア

pagetop