シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 帰り支度をするため、空になったお弁当箱を鞄に仕舞う。颯太のために作ったボール型のおにぎりは、結局食べる事なくそのまま持ち帰る事になった。

 大ホールを出てそのまま駅に向かう。

 着替えを済ませてからの颯太は一言も喋る事なく、ずっと私の左手を握って歩いていた。

 帰りの切符を買う頃になって、鳴海くんが「あの」と申し訳なさそうに言った。

「俺、このままちょっと寄りたい所が有るんで、ここでさよならしても良いですか?」

「……え」

 ーーそんな。

「よ、寄りたいとこってどこ?」

「あぁ〜、ちょっと。学校の方に…」

 言いながら鳴海くんが右上に目線を上げる。

「だったらこのまま途中まで一緒に行けば良いじゃない?」

「あー、はい、まぁ…」

 ーー何だろう、何で急に別行動なんて言い出すの?

 第一、今日は日曜日だから学校は閉まってる筈だ。

 誰か友達と会う約束でもしているの?

 そう思うと、どこか嫌な気持ちになった。

 鳴海くんの時間は彼の物だけど、せっかくのデートなんだから、他に予定なんて入れないで欲しい。

 モヤモヤした気持ちが広がり、ため息が浮かんだ。自分勝手な考えが過ぎて、嫌気がさす。

 帰りの切符を買い、改札口を抜けた。ホームに上がる手前にコンビニが見えた。

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