シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「すみません、沙耶さん。俺ちょっとトイレ、……寄って行くんで。颯太くんと先に帰ってて貰っても良いですか?」

「え、トイレぐらい待つよ?」

「でも颯太くんが疲れてそうなんで」

「大丈夫だよ、待てるから。ねっ、颯ちゃん?」

「……うん」

「店内で待ってるから行ってきて?」

「あー……。はい、それじゃあ」

 鳴海くんがお手洗いに向かい、私と颯太は雑誌コーナーで暫し待つ事にした。

「颯ちゃん、今日楽しかったね? 欲しいミニカー沢山貰えたし」

「うん。帰ったらおばあちゃんたちにも見せるんだー」

「そっかそっか」

 ーーほっ。良かったぁ。

 颯太があんまりにも喋らないから、本当に体調が悪いのかと心配になったけど、この感じだと大丈夫そうだ。

 颯太は袋を開けて、貰ったミニカーを眺めていた。

 私は安心して、目の前にある雑誌に手を伸ばす。

「でもさ。今日、ジンくんがいてくれて良かったよね?」

「え…」

「ほら? だってママ、トムカ釣り下手くそだったし。お兄ちゃんがいないとショベルカーもゲット出来なかったじゃない?」

「……うん」

「やっぱり男の子って凄いよね。また三人でどこか遊びに行きたいね?」

 開いた雑誌から、フッと目線を下げるのだが。

 そこにいるはずの颯太が、いつの間にか居なくなっていた。

 ーーえっ、

 途端に心臓がドクンと震える。

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