シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「颯ちゃん??」

 慌てて雑誌を戻し、キョロキョロと店内を見渡す。

 来店のチャイムと共に、店員さんの「ありがとうございました〜」というトークが聞こえ、サッと入り口に目を向ける。

 ーーあッ!!

 颯太が自動ドアをくぐり抜け、駅構内に走り出す姿が目に飛び込んだ。

「待って! 颯太っ!」

 走り出した時、スマートフォンから“ピロン”と通知音が鳴り、メッセージが届いたのだと分かるが、今はそれどころじゃない。

「颯太っ!?」

 店内を出て、駅構内を見渡すのだが。

 日曜日の昼下がりなだけあって、右往左往と行き交う人の数が半端ない。

 ついさっき出て行ったはずの颯太が見付からない。

「……どうしよう」

 心拍数が早まり、次第に唇が震え出す。

 ーー颯太、どこ行ったの??

 一瞬でも目を離した自分が悔やまれた。

 まさかそんな、急に居なくなるなんて、思ってもみなかった。

 ーーとりあえず、颯太が目を惹かれそうな物を探さないとっ。

 駅構内をあてもなく歩き、何かしらイベントがやっていないかを確認する。

 ーーどうしよう、こんな所で颯太とはぐれるなんて……。

 やがて視界が滲み、私は頭を抱えた。

 ーーとにかく泣いてたって仕方ない。駅員さんに迷子の放送をして貰えるよう、頼んでみよう。

 そう思い、顔を上げた所でポンと肩を叩かれる。

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