シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 いつからそこにいたのかは分からないが、構内にある太い柱のそばに颯太が怒った顔で立っていた。

「颯ちゃんっ、どこに行ってたの?? ママ心配して、」

 半泣きの状態で颯太に駆け寄り、抱き寄せようとするが。その手はスルリと交わされた。

「そう…」

 不意に颯太が走り出し、鳴海くんの元へと駆けて行く。

 訳が分からずその姿を目で追っていると、颯太が小さな拳を振りかぶり、鳴海くんの太ももあたりをポカポカと叩き始めた。

「ママにさわるな! ぼくのママだぞ!!」

 ーーなッ……!

「颯太ッ!」

 私の声に驚いて、颯太がビクッと肩を震わせる。

「どうしてそんな事言うの! 鳴海くんはママを助けてくれただけなのに!」

「ーーひぃっ、」

 くりくりとした颯太の瞳が一瞬で水浸しになり、ボロボロと大粒の涙を滴らせた。

「うわぁぁっん、ママが怒ったぁーっ!」

 しまった、と思うが、時すでに遅く、構内を歩く様々な人が私と颯太を見比べて、ジロジロと白い目を向けてくる。

 羞恥で顔がカッと熱くなる。私は狼狽えた。どうしよう、と鳴海くんにすがる目を向けた時。

 鳴海くんは、無言で首を振った。

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