シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「駄目だよ、沙耶さん」

「え?」

 ーーだめ?

「……さっき、メールにも書いて送ったけど……。颯太くん、もうちゃんと気付いてる」

「……な、なにを?」

 鳴海くんの言っている意味を、頭のどこかでは理解していたはずなのに、頑なに認めたくなくて、私は首を傾げた。

 人目のある場所で、冷静なのは彼だけだった。

「颯太くんは頭の良い子だよ」

 泣きじゃくる颯太に近付き、鳴海くんはその場に腰を下ろした。

「……ごめんね、颯太くん」

 鳴海くんが優しい口調で語り掛け、小さな肩をさするが、いとも簡単に振り払われる。

「やめろっ、お前なんかきらいだ! あっち行けぇ!」

「ーーそっ、」

 つい怒りそうになる私を、鳴海くんがシッ、と指を立てて制する。私は彼に従い、口を(つぐ)んだ。

「颯太くんがさ。ママを大好きで大切に思う気持ちは、お兄ちゃんも勿論分かってる。でもお兄ちゃんも、颯太くんに負けないぐらい、沙耶さんの事が……、キミのママの事が大好きなんだ」

「いやだっ! そんなの、ぜったいいやだ! ママはぼくのママだ! 取ったらやだっ!!」

「…うん、そうだよね。その通りだよ。誰も颯太くんからママを取らない。お兄ちゃんも、颯太くんが嫌なら……。もう絶対ママに触らないから」

 ーーえ……。

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