シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くん、と呼びたいのに、そう出来ずに固まっていた。

 ーーあっ、スマホ。

 急に鳴海くんが送ったと言っていたメールの内容が気になり、ポケットに手を入れた。

【直接言葉に出来ないからメールにしたよ。急に別行動するような事言ってごめん。でも、帰りは一緒にいない方がいい。颯太くん、多分俺と沙耶さんの関係に気付いてる。
 悪いけど、このメール見たら先に帰ってて欲しい】

 鳴海くんからのメッセージを読んで、途端に力が抜けた。

 ーー私、馬鹿だ。

 颯太は私の顔色を見て、察して、きっとずっと我慢していたのに、私だけが気付いてあげられなかった。

 鳴海くんとのデートに浮かれて、颯太の気持ちを考える余地すら持てなかった。

 勝手にコンビニを抜け出したのも、きっと自分だけを見ていて欲しかったんだ。

 私だけが……。暢気(のんき)で無神経だった。

「ママー、帰ろう?」

 やがて私から離れた颯太が、丸く綺麗な瞳で私の顔を覗き込んだ。

「……うん、そうだね」

 滑らかな颯太の手を握り、ゆっくりと立ち上がる。

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