シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 学生さんがまた買い物に来るので、私はメモの続きに取り掛かった。

 ーー鳴海くん、大丈夫だったかな?

 自然と彼の事が頭の半分を埋め尽くしてしまい、私は頬を押さえた。

 ーー何だろう、頬が少し熱い。

 鳴海くんに名前呼びされたのが、かなり衝撃的だった。

 ーー最近の若い子はみんなああなのかな?

 心臓がドキドキと勝手に早鐘を打っている。

 偶然の出会いが四度もあるなんて、まだ学生だった頃の私なら、すかさず運命を信じて乙女心を発揮させていただろう。

 隣りのアパートで住んでいる服飾専門学生の彼と、シングルマザーで二十五歳、実家暮らしの私とは年齢も立場も掛け離れている。何の結びつきも無い。

 だから私は、ただの偶然だと思い込む事にした。

 後に、鳴海 仁くんの事で悶々と思い悩む日が来る事など、今は知る由も無く……。

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