シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「まぁ、そこが仁くんの良い所なのかもしれないけど……。よく我慢出来てるなぁって思うよ」

 ーー我慢?

 無言で首を傾げると、祥子さんは言葉を続けた。

「だって考えてもみなよ? ハタチの男の子なんて、普通彼女と一緒にいたら触らずにはいられないと思うよ? 電車から降りて一人で走って行っちゃうのは、結局のところ、沙耶ちゃんと手を繋げない自分にストレスを感じるからじゃないの?」

 ーーえ……。

「そう、なんですかね?」

「絶対そうだよ」

 断固として言い切る祥子さんを見て、幾らか気持ちが軽くなる。

 寂しくて、切ない想いをしているのは私だけじゃない。私だけが欲求不満になっていて、自分はおかしいんじゃないかと思っていただけに、その言葉が嬉しかった。

「仁くんはさ……きっと誠実でありたいんだろうね。沙耶ちゃんにも、颯太くんにも」

「……」

「それだけ沙耶ちゃんに対して本気だって思えたら……沙耶ちゃんなら合わせていけるよ」

「……合わせる……」

「そうだよ? だって、将来的には仁くんと結婚するつもりなんでしょう? 夫婦ってどちらかがどちらかに合わせて、円満に続いていくものだよ。元は他人同士なんだし」

 ーー確かに。
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