シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ーーなんなんだろう? 鳴海くんって実は秘密主義……?

「さ〜や〜ちゃん?」

「え……?」

「どうしたの? 何か悩み?」

 ーーあっ、うわっ!

 気付くと数人の学生たちがレジに並んでいた。

 声を掛けてくれた澤野くんのレジから始まり、六人目で一息つく。

 祥子さんは休憩室の扉を開放し、模造紙を巻いていた。

「もしかして、仁に会えないから恋煩い、とか〜?」

 まだそこにいた澤野くんが楽しそうにウヒョヒョと笑った。

「……澤野くん。愛梨ちゃんは?」

「え? ああ。買うもの買ったらさっさとうえあがっちゃった」

「……そうなんだ」

 ーーて言うか。愛梨ちゃんのレジをした覚えが無い。どれだけボーっとしてたんだ、私。

 エプロンのポケットに入れたスマホには、まだ鳴海くんからの連絡が届かない。

 ーーどうしようかな。後で電話してみようかな? でも、法事とかで取り込み中だったら申し訳ないし。

「あぁ〜、また入ってる入ってるっ」

「……え」

「悩みワールドに。沙耶ちゃん、マジで仁と何かあった?」

 ーー何か……。

 考えてから私は首を傾げた。

「あれ? 仁の事で悩んでるとばっかり思ったけど。違った?」

 私はのろのろと首を振り、あの、と彼に尋ねた。
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