シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
14.恋わずらいの袋小路
赤や黄色のオーナメントを吊るしながら、私は壁に掛かった時計を一瞥した。
長針があと数センチで十一時に差し掛かろうとしている。ロングカーディガンのポケットに入れたスマホは未だに大人しく、鳴りもしない。
十二月二週目の日曜日。颯太との約束通り、朝からクリスマスツリーの飾り付けをしていた。
電飾のコードを掛け終わり、はしゃぐ颯太を横目に、携帯の待ち受け画面をそっと見つめた。
昨夜、鳴海くんからのメッセージで実家から帰って来たのを確認し、会いたいと強く思った。
【おかえり】のメッセージを送り、今朝がた【おはよう】と一緒に【少しだけ会いたい】と送ったけれど、一向に返事が届かない。それどころか今朝のは既読にすらなっていない。
変わりばえの無いメッセージ画面にため息を落とすと、颯太がカーディガンの裾をクイっと引っ張った。
「ママー、けーたい何見てるのー?」
「……え」
瞬間、ドキッとする。
「あ、えっとね。ママのお友達のブログ……更新がないかちょっと確認してて…」
「ふぅん…」
苦し紛れの言い訳と下手な笑顔を見透かされている気がして、私はスマホをリビングの充電器に繋いだ。
ーー鳴海くんに会いたい。
たった二日、顔を見ていないだけなのに寂しくて仕方ない。