シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 鳴海くんがひとつ、小さなため息をついた。

「……颯太くん、元気?」

「え…」

「保育園のお友達呼んで、クリスマス会とかするの?」

「あ…」

 振り返った鳴海くんの穏やかな笑みを見て、私もつられて口角を上げる。

「う、ううん。まだそういうのは……。うちは、毎年家族でチキンとかピザ食べて、ケーキ食べて、クリスマスソング歌うぐらい…かな。実はツリーも今日やっと出したばかりで」

「そうなんだ? え、てか。早くない?」

「ううん、毎年十二月になったらすぐに出してたから今年は遅いぐらい。
 クリスマスイブは颯太に私からプレゼント渡して、翌朝はサンタさんからのプレゼント枕元に置いたりして……そんな感じかな」

「そっかぁ。楽しそうなクリスマスだね」

 隣りに並んだ彼を見つめ、私の意識は彼という存在に吸い寄せられる。

「……鳴海くんは?」

「え?」

「クリスマス。何して過ごしてるの?」

「あぁ……俺は〜…特別には何も、」

 そう言ったところで不意に黙り込む。何か思い出す事が有ったのか、彼はアッという顔をし、考えを巡らせているように見えた。

 ーー鳴海くん。去年の事思い出してるのかな? 去年のクリスマスは……きっと愛梨ちゃんと一緒だった、よね?
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