シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 私は意を決して、ねぇ、と話しかけた。

「今年のクリスマス。二人でデート、出来ないかな?」

「え」

「颯太は、お母さんに頼んでみて貰うつもりだから……。たった数時間でもいいの、一緒にいたい」

「……」

「だめ…、かな?」

 鳴海くんは無言で首を傾げ、いや、と呟いた。

「俺は。別に大丈夫、だけど…。颯太くんが大丈夫そうだったら」

 歯切れの悪い返事ではあったけれど、私はイエスを貰えて胸を熱くした。

「わかった。それじゃあまた、お母さんに頼んでみるね?」

「うん」

 コンビニに着き、一本の牛乳を手にレジに向かうと、鳴海くんは煙草とカップラーメン、おにぎりを一つずつ買っていた。

 ーーお昼ご飯、かな……?

 そういえば彼にはもう三日もお弁当を作っていない、そう考えてしんみりと寂しい気持ちになった。

 ほとんど自炊をしていない様子なので、たまには栄養のあるご飯を作って届けたい。そうは思っても、あんまり世話を焼きすぎると、かえってお節介かもしれない。

 私は何も言わずに、牛乳一つのビニール袋を提げて、彼とコンビニを後にした。

 帰り道、鳴海くんがたわいも無い話題を振ってくれて笑いながら歩いた。相変わらず、手は繋げないけれど仕方ない。

 今になって分かる。私たちが顔を合わせるのは、電車と学校の中だけにした方が良いと言った彼の気持ちが。以前言われた言葉から理解できる。

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