シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「颯太くん、コントロール良いもんなぁ…」

 参ったなぁ、と言わんばかりに鳴海くんが独りごちると、颯太は俯きがちにはにかんでいた。

「鳴海さん」

「あ、はい」

「また颯太と遊んでやって下さいね? ある程度の事情は沙耶から聞いていると思いますけど……なにぶん、ひとり親ですので」

 ーーお母さん。

 微笑んだままの母を、どこか神妙な表情で見つめ、鳴海くんはコクンと小さく頷いた。

「はい、勿論です。僕で良ければ……いつでも」

 真剣な彼を見て、胸の奥がキュウっと締め付けられた。

「……ふふっ、良かったわね〜、颯ちゃん?」

「……べ、べつに」

 幾らか気まずそうな颯太はそっぽを向き、私の手を握った。

「ママー、早くかえろー? おばあちゃんのお昼ごはん、できてるよー?」

「あ、うん…」

 もう少し話していたい気持ちもあって、名残惜しく彼を見ると、彼は(すが)しい笑みを浮かべて小さく頷いた。

「そうね、帰りましょうか。おばあちゃんももう少しジンくんとお話していたかったけど、遅くなるとおじいちゃんがうるさいから」

「……あはは」

 ーー確かに。

 あんまり遅くなるとお父さんがヘソを曲げてしまう。
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