シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「それじゃあ、鳴海さん。また」

「あ、はい」

 グイグイ颯太に手を引かれながら後ろを振り返ると、鳴海くんは再度母にお辞儀をしていた。

 そんな彼が本当に大好きで愛おしく、真綿のような、やわらかな感情が降り積もっていく。

 家に入ると、颯太がいの一番にリビングへと入って行った。

「なるほど〜、確かに"玉手箱のお兄ちゃん"ねぇ?」

「え?」

 玄関の三和土(たたき)で靴を脱ぐと、母が後ろ手に扉を閉めて言った。

「颯太が前に言ってたのよ。見た目はちょっと派手だけど、優しそうな彼じゃない?」

「……うん」

 今日はいつもと違ってカラーコンタクトをしていなかったので、普段は更に奇抜だけど、と心の中で呟いた。

 彼を見た目だけで判断しない母に、器の大きさを再確認した。

 彼に会いたいがために口実にしたコンビニ袋をギュッと握りしめ、私もリビングへと向かった。

 ***
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