シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 だとしたら、今の私はどうなんだろう? 鳴海くんの事が大好きで一途に心を傾けている私は、母親としての役割を放棄している事にはならないだろうか?

 鳴海くんの思春期の頃を想像して、自分だったら嫌だなと気付いたからこそ、もっと颯太の心を大切にして、寄り添わなければいけない筈だ。

 私は購買部に向かい、着替えるために休憩室の扉を開けた。

 *

 それからの数日はあっという間だった。

 二十日を過ぎると、学生たちは冬休みに入り、私は祥子さんと共に本店勤務となった。本店の開店時間は午前十時なので、出勤時間も通常より一時間遅く、朝はゆっくりできるようになった。

 本店は購買部のような二人体制ではないので、有給も取りやすく、難なく二十五日に休みを取れたのもありがたかった。

 クリスマスの準備や大掃除の心配もあって、彼への恋心に悩む暇すら無かったのは(かえ)って良かったと思う。

 部屋の飾り付けは前もって日曜日に済ませ、クリスマス会当日は社長にお願いして、夕方の五時で上がらせて貰った。

 帰りに予約していたクリスマスケーキを貰って、帰宅してからパーティを始めた。

 颯太は言わずもがな、テンションが高かった。夕飯も颯太の好物ばかりだったし、ケーキが食べれるという特別感に加え、クリスマスプレゼントに"こまち"という名の新幹線をあげたから、嬉々として喜んでいた。

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