シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 母は言わずもがな、驚き、言葉を失くしていた。彼氏に振られて堕胎手術のお金を貰ってきた経緯までを泣きながら話すと、母は何も言わずに私を抱き締めてくれた。

 てっきり母には怒られると覚悟していたので、拍子抜けから安堵し、私は母の胸の中で小さな子供みたいに泣きじゃくった。

 それから一週間。本当に子供を堕ろすかどうか、延々と考え、思い悩んだ。経済状況など、現実的な事を思ったら堕ろした方が良いのは分かり切っていた。

「沙耶の中で生まれた命だから……沙耶が納得いくまで考えて、答えを出しなさい」

 母は堕ろせとは言わなかった。同じ女という性だから、妊娠した今の私の気持ちがきっと痛いほどに分かるのだろう。

 結局、私は堕ろすか産むかの二択を一つに絞り、産む事を決意した。

 この先が大変だからという私だけの都合で、生まれた小さな命を無碍に摘み取る事はしたくなかった。

 私の決断に父は渋い顔をしていたが、母は穏やかな笑みを浮かべて言ってくれた。

「沙耶に後悔が無いなら、お母さんはそれで良いと思うよ? お父さんとお母さんも、出来るだけの事はするから」

「お母さん…」
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