シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 電車に揺られながらぼうっとしていると、大きくくり抜かれたドアの窓から(まばゆ)いオレンジ色の日光が斜めに差し込んできて、顔を上げる。

 視界に彼の明るい髪色が映り、思わず目を細めた。鳴海くんは外の風景を見るとは無しに見つめているようで、グレーの瞳を時折パタパタと瞬いていた。

 絵になるなぁ、と思った。

 プラチナブロンドの髪色も瞳の色も、両耳に付けた赤いピアスも、肌の明るい彼にぴったりと馴染んでいて、太陽の日差しが一際その魅力を引き立てる。

「うん?」

 不意に鳴海くんと目が合った。私は曖昧に首を傾げて微笑を浮かべる。見惚れていたと素直に言えば良いのだが、人前なのでとりあえず自粛した。

「そろそろ着くね」

 電車は徐々にスピードを緩め、停車し、降りる駅で扉を開いた。会社へ向かうサラリーマンやOLさんが先頭を切って飛び出し、私たちもその流れに続いてホームへと降り立った。

 平日だが、目的の映画館はクリスマス当日とあってそこそこに混雑していた。

 あらかじめ、スマホで座席を予約していたので、難なく自動券売機でチケットを買い、指定席に腰を落ち着けた。
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