シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「本当に良い所だね? 家族連れも多いし、川沿いに歩くだけでも運動不足解消になりそう」

 小川付近を彼と並んで歩きながら、私はウンと伸びをした。

「あはは。言っても、沙耶さん、そんな運動不足でもないでしょ? 普段から仕事と育児してるんだし」

「そんな事ないよー。いつも決まった動作しかしないから、筋力落ちちゃうし、肩ばっかり凝っちゃう…」

 はぁ、とため息ひとつ吐き出して、公園の木々を見上げた。

「今日お天気で良かったよね」

 鳴海くんが隣りに並んで立ち止まり、私の顔を覗き込んだ。そのままジッと見つめ返すと、彼は突如として真顔になり、そっぽを向いた。地面を見つめ、ため息まで落としている。

 ーーなんだろう?

「ごめん、あんまりジッと見ないで?」

「え。何で?」

「……至近距離は恥ずかしい」

 行こう、と言って再び歩き始めた彼の頬は赤くなっていた。照れた反応が愛おしくて、私は小走りで追い付き、ぴったりと隣りに並んで彼を見上げた。

「……さ。沙耶さん、近い」

「うふふっ、そんな事ないよ? さっきと一緒」

 本当のところ、さっきまで歩いていた時より距離が近く、ともすれば肩がぶつかりそうだ。

 ーー幸せだなぁ。
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