シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 たとえ触れ合えなくても、こんな近くに好きな人がいるなんて、嬉しくてたまらない。

 歩きながら話していると、やはり何度か手がぶつかった。

「やっぱり近い……」

 鳴海くんは依然として赤い顔で首元を押さえた。

 広い公園内を歩き周り、やがて芝生の綺麗な多目的広場が見えた。若い男女がフリスビーやバドミントンなどで遊んでいて、遠目に良いなぁと思った。

 足下にバドミントンの羽が転がってきて、「すみませーん!」と声を掛けられる。

 私はしゃがんで鮮やかな色の羽を拾い上げた。羽を取りに走って来た若い男の子にそれを渡した時、その彼は私から視線をずらし、「あれ?」と呟いた。

「もしかして……。仁?」

 ーーえ。

 咄嗟に鳴海くんを見ると、彼の顔が幾らか曇った。

「おおっ!? やっぱり仁じゃ〜ん! て言うかすげーイカすな?! その髪色ッ!」

 鳴海くんは片手で顔を覆ってため息を吐いた。

「……あの?」

 取り残された私は、とりあえず「知り合い?」と聞くのだが。鳴海くんからの応答はなかった。

「おぉーいっ! こんな所に仁が居るぞー!」

 直ぐそばで大声を張り上げる男の子にギョッとなる。呼び掛けられた彼の友達らしき男女は「え?」と声を上げ、キョトンとしていた。

「仁だよ、仁ッ! 鳴海仁!」

「……え、マジで??」

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