シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「でもね、沙耶。母親になるって大変な事よ? ましてやあなたはシングルマザーになる訳だし、生半可な気持ちじゃ務まらない。
 子供が物心つく頃には、父親がいない理由だって話さなければいけない。
 それに沙耶がまた次の恋愛をしたいと思っても、子供がいる分、相手が受け入れられるだけの器かどうかを見極めなきゃいけない。時には引け目に感じる事も有ると思う。そういう問題が有るって事だけは、ちゃんと覚えておいて?」

 母の強い瞳を見つめ、私は深く頷いた。

 それから通っていた大学を中途で辞め、私の生活圏は家と総合病院に入った産婦人科、時々役所や近所のコンビニになった。

 出来るだけ安静にして過ごし、勿論バイトも出来なかったから、退屈と言えばそうだったのだけど。日に日に大きくなるお腹を見つめ、我が子への愛情も膨らませた。

 早く出てきて欲しい。早く会いたい。名前、なんて付けようか?

 子供の事を考えていたら、もう次の恋愛なんて出来なくて良いと思った。子供が私の唯一の味方で、宝物。この子を守るだけで一生を終えても悔いはない。

 *

「……爽やかで明るく、逞しく育つようにって。そんな意味を込めて、颯太って名付けたんです」

 私は仕事の休憩時間、先輩の祥子さんにスマートフォンの待ち受けを見せた。
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