シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 仕方なく今日は諦めようかと思った時、三河さんが「それなら」とあっさり助け舟を出した。

「靴ぬいでやれば良いよ? あたしもヒールだから靴下だし。芝生の上って案外ふかふかで気持ちいいよー?」

 そう言われて彼女の足元を見てみると、三河さんはハイヒール用の短い靴下を履いていた。私はと言えば割と分厚めのタイツを穿いている。

「……じゃあ、そうしよっかな? 鳴海くん、いい?」

「ははっ、そういう事なら。いいよ?」

 鳴海くんの了承も得られ、私たちは彼らにラケットを借りてバドミントンに参加した。

 ラケットは人数分の五本しかなかったので、駒野くんと鳴海くん以外の五人でラリーを続ける。

 浅野くんから小田くんへ、そして三河さんから小泉さんに渡り、私もラケットの面越しに空を見上げ、赤と白の羽を打ち返した。

 ラケットを持つ感覚がかなり久しぶりだったけれど、ちゃんと打ち返せてホッとする。

「おっ、沙耶ちゃん上手い上手いっ!」

「仁ならこうはいかないからなー」

「あははっ、言えてる〜」

 きっと鳴海くんがドジな事を言ってるんだろうな、と予想し、二回目も打ち返した。五人でラリーを続ける中、ふと(わき)のベンチに目を向けると、鳴海くんは駒野くんと何やら会話を弾ませていた。

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