シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 近くに落ちていた棒切れを使って、適当にコートの陣地を書き、女子が前で男子が後ろという形で始める事にした。

 さっき五人で打ち合っていた時と同様に、飛んでくる羽に狙いを定めて打ち返すのだが、前に立つ私と小泉さんばかりが打ち合う結果となってしまう。

「どうせなら交互に打ち合う?」

 特別、ルールを設けていないみたいなので、あっさり小泉さんの意見を取り入れる。

 私が打って、それを小泉さんが打ち返して、前に出た駒野くんが打って、鳴海くんに飛んでいく。

 ーーと、あれ?

 彼のラケットは見事に空を切った。

「あっはは〜っ、やっぱり仁、空振り〜」

「……あのなぁー」

 幾らか仏頂面になる彼から羽がポンと飛んでくる。順番で言えば次は私の番だけど、羽は的外れな方向へと飛び、走ってそれを打ち上げる。

「おっ、ナイス! 水嶋さんっ!」

 私が打ったのを駒野くんが拾って、小泉さんが打ち返した。

「仁って相変わらずコントロール音痴だよなぁー」

「うるさい」

 結局のところ、あまりラリーも続かず二度目のダブルスに移った。今回の見学組は私と鳴海くん、そして駒野くんだ。

 ーー鳴海くん、コントロール音痴なんだ…。そう言えば、颯太もボールの事で言ってた気がする。ボールの当てあいっこも自分の勝ちだったって。
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