シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？
　近くのベンチに座りながら、私はつい思い出し笑いをした。

　四人が羽を打ち合うなか、普段ならあまり見る事の無い、＂友達といる時の彼＂を観察する。

　いつもの優しさはどこへやら、鳴海くんは意外と飄々(ひょうひょう)としていて、言いたい事を言っていた。

　多目的広場で一時間ぐらい遊び、そこで五人と別れた。

　公園を出ると近くに感じの良いカフェを見付け、しばしお茶をしようという話になった。時計の針は既に四時へ差し掛かっている。

「あぁ、楽しかったぁ」

「ほんと？　それなら良かった」

　店員さんに二人席へと案内され、私たちは向かい合わせに座った。

「みんな凄く良い子たちだよね？　鳴海くんの事好きだって雰囲気、伝わってきてさ。私、嬉しくなったよ」

「あははっ、そうなんだ？」

「うん！」

「あ、……てかさ。沙耶さんって、結構運動神経いいよね？」

「そうかな？　普通だよ？」

「そーだよ。颯太くんはきっと沙耶さんの方に似たんだね〜」

　彼としては何気なく言った言葉だったんだろう。だからこそ、言った後になって、あっ、と目を見開き、手で口を押さえていた。

「うふふっ、そうかも？」

　メニューを捲りながら、私は笑みを浮かべた。鳴海くんと気まずくなるのが嫌で、＂母親の方に＂という意味に対して、気付かない振りをする。それに颯太の父親が運動に長けていたかどうかすら知らないのだ。

< 203 / 430 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop