シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「わぁ……」

 ーー素敵。

 冷たい夜気に自分の吐息が混ざり、ふわっと小さな霧が舞う。

 この時期のために着飾った木々の間を、私たちはしばらく()り歩いた。

 イルミネーションの道を抜けると、開けた場所に一際大きなツリーが見えた。白いクリスマスツリーに色とりどりの電飾が巻かれ、オーナメントと共に光を放っている。

 目を細めると煌々と輝く光の粒が微かに滲んで見えた。それは見る者が足を止めずにはいられない見事なもので、私は思わず両手で胸を押さえていた。

「.……綺麗」

 うっとりとした心地で呟き、寒さから(はな)をすする。

「うん。綺麗だね」

 顔を覗き込んだ鳴海くんと目が合い、私は笑顔になる。じぃんと胸が熱くなる。大好きな人と同じ物を同じ感情で共有できる事に、ほのぼのとした幸せを感じていた。

 ロマンチックな光景を離れ、そこここにベンチの置かれた通りに差し掛かる。彼と二人でそこに腰を下ろした時、私たちと同様に座って話をするカップルが目についた。

「……沙耶さん。これ、クリスマスプレゼント」

「え…」

 突如、目の前に差し出された小さな白の紙袋を見て、一瞬だけ息を止めていた。

「……あ。ありがとう」

 ーーそういえば、私もまだ渡していなかった。

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