シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか？

「今、四つなので中々に活発な時期だけど。優しい子に育ってます」

「颯太くんかぁ……」

　待ち受けの写真をぼうっと見つめ、祥子さんが言った。

「可愛いね。目元なんか、沙耶ちゃんによく似てる」

「ありがとうございます」

　はい、と携帯を渡され、私は待ち受けの颯太を幸せな気持ちで見つめた。

　三畳しかない休憩室にはスチール棚やロッカーの他に、模造紙の束が乗った折りたたみ式の机がでんと置かれて、二人座るのでやっとの空間だ。

　祥子さんが給湯室で淹れてくれた緑茶に口を付け、私は自分のこれまでの事を話していた。

「沙耶ちゃん、まだ若いのに大変だったんだね……」

　同情、憐れみ、そんな言葉では形容できない優しい言葉を掛けられた。

「そう、ですね。でも困難なのはきっとこれからです。颯太が保育園で色々知識を吸収して帰って来るので……何でうちにはパパがいないの？　って。この間、ついに聞かれちゃいました」

「そうなんだ？　沙耶ちゃん、何て答えたの？」

　それが、と一度言葉を切り、私は眉を下げた。

「パパは颯太が生まれる前にお星様になったんだよって。そう言いました」

「……なるほど。無難な答えだね」

「はい。嘘をつくのは嫌だけど。本当の事を言うのは、もっと嫌だから」

「そっか。そうだよね……」