シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「……あ、あれ?」

 ーーえ?

「嘘だろ…」

 鳴海くんの肩が下がり、彼は明らかに落ち込んでいた。指輪は見事にぶかぶかだった。

「あー……えっと。鳴海くん?」

 私はぶかぶかのそれが落ちないよう、左手をギュッと握る。

「ごめん。サイズとか分からなかったから、店員さんに聞いて、一番無難な号数を選んだんだけど……。沙耶さん、指輪のサイズ何号だった?」

「えっ? あ、その。は、測った事無いから、分からなくて……」

 そもそも指輪を貰った事自体が初めてだった。

「そっか……そうなんだ」

 テンションが下がり項垂れる鳴海くんだが、そんな彼を見つめ、意図せず目頭が熱くなった。

 手に……。ほんのちょっとの彼の温もりが伝わるだけで。こんなに嬉しい。

「て言うかさ……」

「あ、うん?」

「沙耶さんの手ってそんなに小さかったっけ……?」

「……え」

「ごめん。触らないって固く誓ってたつもりだけど……意思弱くて」

「あ……、そんな。謝らないで?」

 緩い指輪を落とさないよう左手で空を掴んだまま、私はジッと鳴海くんの横顔を見ていた。サイズが合わなくて落ち込んでいても、彼の頬も私と同様に赤い。
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