シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 ふと、左手の腕時計で時間を確認し、鳴海くんが言った。

「五時五十分、か。今からだったらまだ間に合うかな」

「…え?」

「それ買ったお店、七時までだから指のサイズ測って交換して貰おうかと思って」

「なるほど」

「……ああ〜、でも。距離あるしなぁ。帰りが遅くなるから、間に合わなくなる、かも…」

 ああ、やっぱり駄目だとしかめっ面をし、鳴海くんは手で頭を抱える。

「じゃあさ? 近くのアクセサリーショップで号数だけ測りに行く?」

「……号数だけ?」

「うん。だからサイズが分かって交換して貰ったら、また渡して?」

 言いながら指輪を抜き、元の小箱に仕舞ってから彼に渡した。鳴海くんは眉を下げて微笑み、うん、と頷いた。

 それから程なく近い場所にアクセサリーショップを見つけ、店員さんに頼んで薬指のサイズを測って貰う。

「七号か。やっぱり細いなぁ〜」

「そうかな?」

 自分の手を見下ろしながら首を傾げる。

「七号にサイズ交換したらまた渡すから」

「うん!」

 ショップを後にし、時間を確認しながら駅へと歩いた。このまま真っ直ぐ帰ったら、丁度良い時間に家へ着くはずだ。

「……ごめんね、今日」

「え?」
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