シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
 私も指輪を嵌めて貰った時は驚いた。祥子さんが言うように、この指輪は結婚指輪か婚約指輪と同等の意味を持つんじゃないかと感じている。

 レジの前に立ちながら、また左手を見下ろした。

「すみません、ボタンホールお願いしまーす」

 不意にレジカウンターに衣服が置かれて、ピリッと気を引き締める。

「あ、はーい」

 私がレジ横に置いた受付用紙を取ると、祥子さんが来て、「私、聞くね」と言って生徒を休憩室の方へ連れて行く。

 通常、レジはいつでも機能していなければいけないので、ああいう受付業務はレジ担以外が引き受ける。

 学生から聞き取りを終えた祥子さんが戻り、「ハトメ穴四つね」と伝えてくれる。私は八百円を生徒から受け取った。

「あと十日ぐらいで学園のコレクションだもんねー。これからどんどん増えるよー、ボタンホール」

 忙しくなるね、と言って笑う祥子さんに私も苦笑いする。

 ボタンホールの受付というものも一つの業務で、学生たちが縫った衣服に文字通りボタンの穴を開けるために、聞き取りを行う。

 その数や穴の種類、サイズなどを用紙に記入し、本店へと持ち込む。本店二階の荒垣さんが全て一人でやってくれるので、学生から聞いた内容を口頭でも伝えるのがベストだ。

「コレクションって何日でしたっけ?」

 私は卓上のカレンダーを見ながら、祥子さんに尋ねた。
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