シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「でも。家では指輪できないでしょ? 颯太くんの手前」
「あ、うん」
「だったら学校ではちゃんとしててね? 左手の薬指に」
どこか意味深に笑う彼を見て、私は黙って頷いた。程なくして、待っていた電車がホームへと滑り込み、私たちの前で扉を開いた。
「あ。それにね? 祥子さんが鳴海くんの思惑通りだねって楽しそうに笑ってたよ」
乗車してから思い出した事を言うと、鳴海くんは眉を下げて嬉しそうに笑った。
「流石だなぁ、祥子さん。主婦なだけあってよく分かってる」
「え?」
「沙耶さんは俺の奥さんになる人だからね。四月には新入生だって入って来るし、今からちゃんと周りに知らしめておかないと」
ね? と言って微笑まれ、瞬時に頬が熱くなった。
*
それから一週間ほど経ち、仕事から帰宅した夜の事だ。何となく颯太の表情が沈んでいるように見えて、心配になった。
いつものように布団に入り、寝かしつけのために棚から絵本を取った時。颯太が弱々しい声で「ママ」と呟いた。
「うん? なぁに、颯ちゃん」
「……あのね。ぼく、悪い子なんだって」
「……え?」
瞬間、自分の表情が固まるのを感じた。
水色の掛け布団を小さな手でギュッと握り締め、颯太が悲しそうに言った。
「あ、うん」
「だったら学校ではちゃんとしててね? 左手の薬指に」
どこか意味深に笑う彼を見て、私は黙って頷いた。程なくして、待っていた電車がホームへと滑り込み、私たちの前で扉を開いた。
「あ。それにね? 祥子さんが鳴海くんの思惑通りだねって楽しそうに笑ってたよ」
乗車してから思い出した事を言うと、鳴海くんは眉を下げて嬉しそうに笑った。
「流石だなぁ、祥子さん。主婦なだけあってよく分かってる」
「え?」
「沙耶さんは俺の奥さんになる人だからね。四月には新入生だって入って来るし、今からちゃんと周りに知らしめておかないと」
ね? と言って微笑まれ、瞬時に頬が熱くなった。
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それから一週間ほど経ち、仕事から帰宅した夜の事だ。何となく颯太の表情が沈んでいるように見えて、心配になった。
いつものように布団に入り、寝かしつけのために棚から絵本を取った時。颯太が弱々しい声で「ママ」と呟いた。
「うん? なぁに、颯ちゃん」
「……あのね。ぼく、悪い子なんだって」
「……え?」
瞬間、自分の表情が固まるのを感じた。
水色の掛け布団を小さな手でギュッと握り締め、颯太が悲しそうに言った。