シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「……えぇと。シャツ穴が八つだね。出来上がりは明後日になるけど、大丈夫?」

「はい、大丈夫でーす」

 艶やかなストレートヘアをさらりと流し、臼井さんは上品に笑った。

 ーー綺麗な子だなぁ。

 記入した受付用紙を祥子さんに渡し、「シャツ穴八つです」と伝えた時。

「あっ、仁くんじゃん。この間はお疲れ〜」

 臼井さんが、糸を見ていた鳴海くんの肩にポンと手を置いた。

 ーーあれ。知り合い?

 コース違うのになぁと思い、ついつい二人を見てしまう。

「おう、臼井。この間ありがとね。すげー助かったよ」

「良いって良いって。サーモンピンク激カワだったし、あたしも良い経験になったよ! てか、仁くんのラストスパート、ヤバヤバ。間に合うと思わなかったし!」

「はぁ? なにそれ。普通に酷くね?」

「ねぇ、あの服どうするの? またイベやった時に売るの?」

「臼井さーん、六百四十円ねー?」

 二人の会話に祥子さんが割り入り、臼井さんが「はーい」と言って支払いを済ませる。

 ーー鳴海くん。臼井さんと何の話をしてたんだろう? この間って、何の事?

 心の奥底から、淀んだ感情が沸き出てきて僅かに胃が痛くなる。
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