シングルマザーの私が学生と恋♡するんですか?
「そうなんだ……。鳴海くんのバイトって服屋さんだよね? 友達が買い物に来てたの?」

「……いや。そうじゃなくて」

 そこで一度言葉を切り、鳴海くんは首の裏に手を当てた。

「今日、放課後にボタンホール出してた奴、いるでしょ? 臼井 詩乃ってコ」

「……あ。うん」

 ーー凄く綺麗な女の子だった。

「俺、臼井とバイト先一緒だからさ。それで言われた」

「……そっか」

 ーーあの子から聞いたんだ。

 何となく嫌だなと思った。だってあの子はきっと、鳴海くんのこと……。

「ねぇ、鳴海くん」

「うん?」

「明日から、学校まで一緒に登校しよう? 私、鳴海くんじゃない人と結婚したなんて思われてるの。凄くいや……」

 顔を上げて、鳴海くんの目をジッと見つめると、彼は優しそうにフッと目を細めた。

「……うん。その方がいいね。
 その指輪、ちゃんと虫除けにはなったけど、俺まで排除されたらたまんない」

「ふふっ、何それ」

 彼が愛おしくて一緒にいるこの時間が、たまらなく幸せだ。

「あ、それでさ。コレなんだけど」

「例の紙袋?」

「うん、コレクションに出した服。どうしても沙耶さんに渡したくて。それで今日会いたいって言ったの」

「……え」

 鳴海くんが紙袋から淡いサーモンピンクの洋服を出して、「ちょっと立って?」と言った。肩から洋服を充てがわれる。

「沙耶さんの好みに合うと良いんだけど…」

 そう言って鳴海くんから渡された服を両手で広げて、わ、と口が開いた。
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